潜 裡 眼
はじめに
「潜裡眼(せんりがん)」。この言葉は私の造語である。
意味は、「潜在意識という観点から人間の心や意識を見つめ、そしてその理解によって、さらにその奥に展開している世界を知る力」ということである。
潜在意識の理解が深まれば、同時に人間に内在する潜在力に気付く事にもなる。
潜在力は、特殊能力とか潜在能力と言われるものである。
そして、潜在能力の開発とは、潜在力が潜在意識を通して心や体に、また現象として表現させる事が出来るように目指すことである。
潜在意識について言うと、一般的に理解されていることは、意識に出てこない心の奥の考えとか、無意識のうちに心の奥に蓄積した様々な記憶ということになる。
しかし、潜在意識に深く関わることは、これだけではない。
単なる記憶に関するものは、潜在意識の一部分に過ぎないのだ。
私がいつも意識している潜在意識は、広大で深遠である。
人の記憶に関連するものは、深層意識という潜在意識の中でも浅い部分にあたる。
この記憶に関する潜在意識なら、深く入り込むことによっていろいろと分析する事が可能である。
これが自己意識の自己分析で、自分の意識構成をある程度、把握する事は出来る。
人の潜在的意識構成は、個性を別にすればほとんどの人に共通している。
この共通性を多くの人に適用して精神状態を判断していくのが、心理的方法である。
しかし、これよりさらに深くなると、霊的な要素が関わってきて、言葉では説明する事の出来ない無意識の世界に突入することになる。
無意識と言っても意識が無い訳ではなく、知識でなるこの世と対比してということである。
難しいと思えば難しい、しかし、すべて自分自身の中にあるものだ。
潜在意識は、知るというより気付くと言った方が適切かもしれない。
それは、一つ、二つといったものではなく、数多くある。
要するに、我々の顕在意識は観念的なものまで含めると、この世のすべてに関わっていることになり、そしてそのすべてが密接に潜在意識と関連しているということである。
潜在意識の内容が知識となるには、多くの人が潜在意識というものを理解していなければならない。
たとえ、潜在意識とはこうこう、こういうものですと十分説明しても、半分も自分のものとして理解出来る人はいないだろう。
潜在意識と言う言葉であっても、それは絶えず意識的に活用できなければ意味がないのである。
潜在意識の概要は、今説明したようなものであるが、本来はこの程度の範囲ではない。
潜在意識の世界を今の心で分かるようにするには、いろいろな角度から見た、また考えたそれに率直な疑問も入れて推測した、たくさんの話をするしかないと私は思っている。
人それぞれの自分なりの潜在意識を、新しく作っていくことになる。
新しく作ると言うのは、ある潜在意識が自分を悩ますからいやだといって、それだけをはずすという事は出来ないからである。
とにかく、これから定期的に「潜裡眼」に載せていく潜在意識に関わる話によって、何か新しいことを気付いて行けると思っている。
自分自身と自分の人生を左右する潜在意識の理解は、それに気付くほどその重要性が心から感じられるようになるだろう。
また、潜在意識に関わる内容は、その説明も難しくなるので、ここではできる限り平易な言葉で表現しようと思っている。
私が進めようとしているのは、いろいろなことを潜在意識の観点から説明して見ようとする全く新しい試みである。
基本的な目標としては、潜在意識というものを把握できる事である。
ここで、私が潜在意識を意識し自覚できたのは、どのような事がきっかけになったのかを付け加えておきたい。
人は、あるきっかけによって、思わぬ方向に展開していく事がある。
私は、20年くらい前からハンドパワー(気)によるヒーリングを始めていた。
そしてこの間にも、私は何度もヒーリングで不思議なことを体験していた。
それは、自分の行なっていたヒーリングではなく、ある行為で病気が治ってしまったということである。
その行為とは、ヒーリングをやめパワー(気)も出さずに、ただ私は手を当てた状態でいると、いつの間にか深い意識状に入っていたことである。
それは、寝てしまったというより、気が遠のいてしまったという感じだった。
そして、思い出したように自分に意識が戻ったあと病状を確かめてみると、私が無意識であったのにどういうわけか病気が治っていたのである。
このようなことを2,3度体験した頃から、私はこのような治り方をもたらす力を研究し始めた。
ヒントは、不思議な治り方をしたという事実だけで、それ以外にパワーや何の感じもない。
私は、何のヒントもない知らないものを求め始めたのである。
10年間、瞑想を通し、意識的訓練などを行ない、このような治り方をもたらす方法を求めて努力していたが全て失敗だった。
しかし、この間にも、たまたま自分が深い意識状に無意識に入った時は、病気が治ってしまったということが何度もあった。
それでも、私が意識的にヒーリングすると、うまくいかないのである。
要するに私は、治るときのパワーが何にも感じないため、どうやっていいか分からなかったのである。
私は、こんな状態が続いていたが、一度もあきらめようとは思わなかった。
私は10年間で意識的訓練もほとんどやり尽くしていた。
そんなある日、他に何もやることがないと気落ちしていると、ふと、あることが頭に浮かんで来た。
このあることとは、今までの失敗を消してくれる意識的気付きである。
そして、このことがきっかけになり、さらに深く潜在意識に入っていったのである。
こうして私は、パワー(気)を使わなくても、効果が出せるようになって行った。
私には、絶えずインスピレーションや新たな発想がやってきたのである。
中には、絶対自分では考えつきもしないようなことが来たり、またいろいろな不思議な映像なども無意識状で見たりした。
一つの瞑想と意識的訓練が終わると、すぐに次のやることが浮んで来るという状態だった。
私は、よくここまで次々と出て来るものだと、自分のことながら不思議な感じがしたものである。
このようなことが2年くらい続いていたが、私はこの頃から、潜在意識というものやその世界がどのようなものであるか意識できるようになって行ったのである。