コアステート

No. 11 コアステート

今回のテーマは、「コアステート」を取り上げてみたが、一般的にこの言葉はほとんど知られていない。

このあといろいろと説明していくが、その前にコアステートを一言で表現すると、このような感じになる。

誰もが気づかない自分の内に潜んでいる自分を心から満たしてくれる感じ、またはそのような意識状態ということになる。

もちろんコアステートの意識的感じは、その体験度合いによっても人それぞれ感じ方が違う。
どの程度近づけるかだが、我々が望む一番の心の状態は、無条件に何かに満たされているといった感じだろう。

無条件に満たされているといった感じの意識、それが何であるかはまた別な話しになる。
たとえ、それがどんなものかは知らなくても、その感じがやってくるのはいつも自分の内からである。

今回このコアステートをテーマに選んだのは、このコアステートなる意識状態を説明することで、誰にもある深い意識にある知恵について、少しでも知るきっかけになればと考えたからである。

コアステートを目標とする私が行なっているセッションは、「ネガティブ意識解消療法」というものであるが、これは本のコア・トランスフォーメーションを理解したうえでさらに改良した方法である。

コア・トランスフォーメーション・プロセスは、アメリカのコニリー・アンドレアスというNLPセラピストによって開発され、日本では2年くらい前に本が出版されている。

NLPとは、神経言語プログラミングの略で,それは心理学か心理療法かは知らないが、このコア・トランスフォーメーションはその専門家が開発したということである。

催眠療法的なものなら、今頃一気に日本中に広まっていると思うが、しかし本が出版されてから2年以上経っているが、この療法はなかなか一般療法としても浸透していない。

しかし、私が確信していることは、心理療法としてもこのコア・トランスフォーメーションは最高のレベルだと考えている。

そうであれば、いずれこの療法が本格的に研究されていくか、またはこの療法の根底にある意識構造の研究で別な方向でコアステート状態に持っていくか、どちらにしても将来の心理療法はこの基本方向に沿って進むだろうと考えている。

こういう理由で、この療法が単なる心理療法では意識向上に役立てられないので、これらを一つにまとめて、「ネガティブ解消療法」として心の問題解決と意識向上につなげている。

このような流れから考えると、今あるその他の心理療法的なことも、新たな視点から見つめ直すいいきっかけになるかもしれない。

現代人は、これまでの心理療法で納得するのだろうか。
ネット時代で人々の心理面やその療法などの知識も、以前に比べかなり豊富に持っているはずである。

その場だけの一時的開放感だけで果たして心底から自分の問題を変換できるだろうか。
自分まで偽っては、いずれまた壁にぶつかることは目に見えている。

人間、たとえどんなものから逃げることが出来ても、最終的に自分自身からは逃れられない。
だったら、どうするか。

この視点に立ってしっかり自分を見ることが、自分を守り、救い、高めるということにつながっていく。

どんな知識でも、それが自分の経験によって雪だるま式に大きくなって一生自分の役に立っていくものになれば、それは大変価値がある。

心でも意識でも、いずれにせよまず自分自身を知ることが、これからの時代を平静に生きるには、それも必要なことだろう。

先ず、コアステートを詳しく説明してみる。

せっかくコアステートなる意識状態が自分にあるにも拘らず、ほとんどの人はその自分のすばらしい意識も知らずにこの世を去っていく。

精神的世界を知らない人はともかく、精神世界、宗教、哲学、心理などを勉強したことのある人がこのコアステートを体験しないというのは、これからの自分の意識向上を目指すにも大変惜しい気がする。

過去から現代に至るまで、内的自己世界を探求してきたたくさんの修業僧や研究者たちは世界中にいた。

その探求してきた内的意識、そのはっきりと自覚できる意識状態で一つの悟りとも言えるのが、コアステートによっても理解できる意識状態である。

私は、それが意識進化のために現代にもたらされたと考え、またそのように気づいていけるようにコアステートを説明するときに、この話も一緒にしている。

自己探求に意欲のある者は、それをしっかり見つめていくだろう。
修行僧においては、この意識的基準の悟りにさえ到達出来ないものは次に進めない。

このようなことが現代にもたらされてきたのも、このような時代、そして新たな意識が未来さらには本質の世界に向けさせられているからである。

もちろんこのような見方は、私の意識的見方であって、本はただ自分の弱点、悩みなど、問題の解決のみを扱っている。

それは、心理療法であるから仕方ないが、もし深いコアステートを体験したなら、その意識状態が潜在意識開発や自己意識の飛躍的向上にも役立つことを知って欲しい。

私がこの方法を知ったのは、今から15年くらい前だった。
方法ではなく、コアステートという意識状態といったほうがあっている。

その頃は、このような方法があるわけでもなく、当時の私は心理学や心理療法などの本にもほとんど縁がなかった。

私はただ自分の奥深い潜在意識にあるネガティブの正体を知りたかったため、また早くその苦痛から解放されたかったために、自分の奥深くを徹底して追及していた。

「自分とは何か」「自分をどうして思い通り自分で動かせないのか」ということである。
もっと言えば、ポジティブネガティブとは何か、その答えが解らなければ自分はこれ以上前に進めないと思っていた。

その答えを得るまでは、毎日が重苦しい状態で欝そのものであった。
欝であっても、何もしないわけにはいかない。

いろいろなことを考え、いつも気が抜けるような無意識状態と重苦しい思いの中で、いつの間にか数ヶ月経ったときとうとうインスピレーションが来た。

それは、一瞬であったが、欝状態で心身ともやつれきった自分を完全に蘇らせるくらいの知恵だった。
私はその瞬間、「わかった」と思った。

一瞬であっても、この言葉が出てくる。
それは、ポジティブネガティブの智恵による、人間と世界の限界を越えるための道を知ったからである。

そのときは自覚できなかったが、それ以後この感じ、この意識状態を何度も体験して来たことで、それがコアステートという意識状態であることが確信できた。

私は一瞬で元気になった。
自分のかなりきつい、そしてなかなか浮かびあがって来ない大きなネガティブを知り、そして超えた。

その方法を知ってからは、もっと深いネガティブを相手に、そしてたくさんのいろいろなコアステートを体験していった。

これまで、随分いろいろな意識的感じや意識状態を経験してきた。
その意識状態とは、気づき、悟り、閃き、インスピレーションなど、何でも自分を内から変えてくれる意識の力と思ってくれればいい。

そして、一気に、自分の思いを根こそぎ変えてくれるのが、インスピレーション的な気づきというものになる。

コアステートで言えば、自分の内的意識がこれを体験することで、問題自体がいきなり変化しそれが気にならなくなるといった感じが不思議でもある。

コアステートは、名前を変えれば気づき、悟り、閃き、インスピレーションであると言ったが、それはこのコアステートが何であるか、コアステートの体験レベルを上げて行けば納得できるはずである。

その人の意識状態によって体験する、コアステート自体にも段階がある。
私は、セッションでコアステートを体験した人にだけ、この段階と次なるコアステートの集まりから得られるインスピレーション状態のことを話すことがある。

しかし、一回の体験だけで次を理解するというのも無理があるが、それでも次の段階を知っておくことは知らないよりはいいと考えている。

心理療法を越えたレベルでみる「コアステート」という名前は、特にこれである必要もない。
ただ、本が出ているのでわかりやすく、共通の言葉として理解しやすいようにこの言葉を使っている。

私がこの言葉に代わって使いたいのは、「生命意識」である。
それも、自分の魂からの回路を通ってくる「生命意識」と言えば、この言葉だけですべて一つの意識、そして人間意識の説明が可能となる。

このことは、前から言っているように、宗教はいらない、自分の潜在意識の理解がすべての次元世界の中継点になるということの説明を裏づけられる。

人の意識は一つである。一つのある方向とつながっている。
どんな意識的訓練も同じ意識としてつながっていなければおかしい。

そう考えると、自分で行なうコア・トランスフォーメーションも意識の訓練であると思う。
その材料は、自分のネガティブである。

自分の意識的訓練になり、それでネガティブから解放され、それによって意識がまた向上する。
それは、一回のみで完了するものではなく、自分のネガティブがある限り、この世の限界まで続けられる。

そして、その方法は最終的にコア・トランスフォーメーションではなく、自己潜在意識開発から無意識の世界へと移行していく。

このように考えることが出来れば、人は自己の生命意識に生きるとなり、それはネガティブ解消を伴い、その行き先は自己完成という一つの一体意識まで続く。

この生でこのすべてをやるということではない。
輪廻転生における因果法則を完全に理解し、真剣に自分を考え思う人にははっきりとした答えとなる。

もし、これを考え悩むとしたら、まだ何に執着し囚われているか見つめるといいだろう。
しかし、時間はどんどん過ぎていく。

イメージできれば、自分が70歳になった状態からこれまでの人生全体を振り返ることが出来れば、意外にわかりやすいかも知れない。

自分のことがイメージしにくいなら、誰か周りのそのくらいの年齢の人を自分として見つめるのもいいだろう。

知識と頭で理解するのと、実際に経験してそれを自分のものにしているのとでは、潜在意識からまるで違うのである。

では、実際コア・トランスフォーメーションを行なうにあたって難しい点はなんだろうか。
最終的には、自分ひとりで出来なければ意味がないが、戸惑いもあるだろう。

何故か、それはコアステートがどういうものか知らない、今まで一度も体験したことがないためその見極めが出来ないということが理由である。

ここまで書いてきた内容から、コアステートの意識的感じを理解できなくはないと思うが、一人では慣れるまで結構時間がかかるので、とにかくあきらめないでやるしかない。

もう一つ難しいと思うことがある。
それは、対面で行なう場合でも一番迷うと思うが、内面のもう一人の自分(パートと呼ぶ)から、言葉を聞いたり、直感的に受けたり、要するに何らかの感じを言葉で表現しなくてはならないことである。

そして、パートから出てきた言葉を、また質問としてパートに聞いていく、単純にこの繰り返しでコアステートを体験するように誘導していくだけであるが、それが考えてしまう。

本来、自分の思考でない、内面からの自然な感じを言葉で表現しながら進めていくのが一番いい方法である。

私は言葉が出てこなければ、イメージでも誘導していく。このイメージによる誘導は本にはない。
このイメージ誘導も、私自身がこれまでの意識的訓練で得た意識的なレベルを上げる方法で行なっていく。

誘導は、ただパートから出てきた言葉をポジティブに変えて質問していくだけではなく、私はその人の意識レベルの位置を無意識の中で位置づけ、それにあった方向に向け高い意識状態(コアステート)に近づけるように一緒にその人の意識の中を動くのである。

表向きは言葉を返しながら誘導しているが、自分の意識の中は全センサーを働かせ、相当なスピードで次に向けて道を開こうと努力しているのである。

もし、コアステートを体験できないとしても、これによって何か原因と言えるものや理由なども、かなりのことが説明できるのである。

心は限界そのものの中にあるが、たとえ意識であっても本人の理解以上自己意識が解らなければ、それも一つの限界として把握し位置をつけるしかない。

こう考えると、人間はいろいろな本や人が言っているほど、意識でも自由ではないということになる。
そうなるのは、潜在意識内が限定、固定された観念の影響を受けているからである。

コアステートの体験によって知って欲しい一番大事なことは、自分の問題から解放されることだけではない。

目的は問題から解放されることではあるが、一番大事ということを意識して欲しい。
それは、自分の意識の中に、問題をいつでも解決させる知恵があるということである。

それは、いつでもあるが、それに人は気づいていないということである。
それを求め高めることが、一つに自分の意識の道を歩いていることにもなる。

その証拠、自分が確信できるものが、コアステートという意識である。
それは、自分の真の意識であって、間違ってもテクニックではない。

テクニックで出来るものは、心の分野であり、いずれそれは壁にぶつかる。
本物は迷うことも疑うこともないが、テクニックを追うことは、いつも自分の中で迷いの修正に忙しくなる。

ここまで、コアステートの説明をしてきたが、では実際にどのように進めていくか簡単に説明してみる。本も出ているので気になる人は読んで欲しい。

量的に、すべて説明することは不可能なので、さわり程度と思って欲しい。

まず、自分の問題点を出して、それをパートとする。
問題点は何でも結構で、今自分がそれから解放されれば気持ちが楽になるといったものでいい。

人間は、非常に気にしているものがあれば、それに対して自分の体の一部がいつも同じような反応をすることがある。

それは、自分自らが行なっているのではなく、内なるもう一人の自分(パート)が何らかの意図を持って、自分に働きかけているからである。

簡単に言えば、その深い意識の真の意味を理解、納得できれば問題から解放されることになるが、それをこのプロセスに従ってコアステートを体験することによって問題から解放されることを目指す。

たとえば、自分が解放されたい問題として「人の視線が怖い」とする。
「それから解放されたい」、それが目的となる。

その人は、人の視線を感じると異常に緊張して胸が締め付けられる感じがする。
それは、自分でそうするのではなく、その状況にあったときになる自分の体の自動反応である。

自分の内面に向けて、パートに質問する。
「こういうとき、いつも胸が締め付けられるようにするのは、(パートであるあなたは)私のために何を望んでいるのですか?」

そして、内面からの声なき声をただ待つ。
内面からのパートの感じ(声)を受ければ、それを表現する。

「もっと、体の力を抜けよ」という言葉が来たとする。
それを、またパートにポジティブに変えて質問する。

「もし、あなたが自分の思い通り完全に体の力を抜けたら、それもいつでも自由に出来たなら、それを通してあなたが望んでいるもっと大事なことって何ですか?」(このような感じの質問で)

また、内面からの声なき声をただ待ち、それを感じ取る。
「もっと、冷静になれるかもしれない」という言葉が来た。

また、パートに今の言葉で質問する。
「もし、あなたがこれから冷静になって行けるなら、そしてあなたの望みどおり完全に冷静な自分になったなら、それを通してあなたが望んでいる本当に大事なことって何ですか?」

質問したなら、内面からの声なき声をただ待ち、それを感じ取る。
「積極的」という言葉が来た。

また、パートに質問する。
「もし、あなたが自分の思うとおりに十分に完全に積極的になったなら、その積極性を持って本当にあなたが体験したいことってなんですか?」

このような感じで、ポジティブにそのパートからの言葉で繰り返し質問していくだけである。
本では、この問答形式を「達成目標の連鎖」と言っている。

それが何回続くかは、その人の問題と意識状態による。
そして、ある意識状態でコアステートに達するのである。

そのゴールとなるコアステートは、自分の内的に感じる光の感じの度合いで決めるが、それはあなたが決めるゴールと私が決めるゴールは同じでないかもしれない。

プロセスは、このあとも続いていく。
方法としては実に単純であるが、私はその誘導の間相当の意識を使うのである。

このすばらしい方法があまり普及しないのは、コアステートを体験したことのない人は、コア・トランスフォーメーションで誘導が出来ないからである。

コアステートを知らずして、どのように誘導するのか。
今度機会があれば、これと感じが似ている「フォーカシング」の説明もしてみたい。

「コア・トランスフォーメーション」は意識的、「フォーカシング」は身体的と私は分けている。
どちらも、インスピレーション開発や無意識的直感の開発に役立つ。

このどちらも心理療法という捉え方より、自己潜在意識の開発に向けるための意識訓練という考えを私は強く持っている。

それは、自分のネガティブ克服であるから、できるなら潜在意識的にどうしてそうなるかの深い意味を知っていったほうが、将来的にも自分の大きな力になる。

何もなかった自分が単純にコアステートで変わるという事実は、潜在意識的にみて、その深いところで働く仕組みがあるということである。

本来、心理療法の表向きなテクニックよりは、この仕組みの話をしたほうが為にもなるし面白いと思うのだが、少し難しいとなるかもしれない。

私はいつも、この仕組みのところを中心に全方向を理解しようと努力している。

あなたもぜひ、コア・トランスフォーメーションとコアステートを研究し、自分の世界を切り開いてもらいたい。